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コロイド振動電流法評価

コロイド振動電流の発生機構

コロイド振動電流図1

 図1 コロイド振動電流(Colloid vibration current)の発生機構

図1にゼータ電位プローブの構造及びコロイド振動電流の発生機構を示します。分散系の中に超音波を照射すると超音波の波に沿って粒子は振動します。その時、粒子と溶媒の密度の違いにより、荷電粒子とその周囲のカウンターイオンの分極を生じ、コロイド振動電位(CVP)と呼ばれる電場を発生します。この電場はゼータ電位プローブ先端の表面電極の電位変化を生じ、電流として検出します。この電流をコロイド振動電流(Colloid vibration current, CVI)といいます。

コロイド振動電流とゼータ電位の関係式

コロイド振動電流式1

コロイド振動電流式2

ここで、G(a,Φ)は超音波照査による粒子移動の時、粒子に働く慣性力補正項であり、粒子径がメディアン径(d50)で300nm以下であれば、無視できます。また、多くの溶媒のパラメータがデフォルトとして登録されているので、実際に必要となるパラメータは粒子濃度と粒子の密度のみで測定可能になります。混合溶媒の誘電率のような文献値で入手困難なパラメータの場合、市販の液体誘電率計(Model 871、三洋貿易㈱社製)を用いて簡便に測定し、新しい溶媒として登録し、測定することも可能です。

標準コロイドシリカ(10wt%)による校正

コロイド振動電流法は、比較的単分散で安定な、コロイダルシリカ(TM-50)1)を標準サンプルとして用いることによって、日ごろの装置の点検、品質管理に役立てることが可能です。下記に10wt%コロイダルシリカの連続的に100回測定した結果です。38mV±1mV内に収まり、良い再現性が得られていることが分かります。

コロイド振動電流図2

コロイド振動電流図3

40wt%のカオリンスラリーにヘキサメタリン酸ソーダの最適な添加量とスラリーのpHの影響を調べた結果です。ゼータ電位の絶対値からカオリンの重量濃度に対してヘキサメタリン酸ソーダの添加量が約0.6%の時が最適量であることと、スラリーのpHはアルカリの方が分散安定性に有利であることが分かります。

参考:ISO 13099-3:2014:Colloidal systems — Methods for zeta potential determination —

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