学ぶ・知る

半導体製造工程における濡れ #1 (ウエハーと濡れ)

ウエハーと濡れ

半導体製造工程における品質保証は非常に高いレベルが要求されます。チップ製造用の生のウエハー表面は非常に清浄かつ均質である必要があり、その表面に欠陥がある場合、製品不良やコスト増などあらゆる面で問題となり得ます。同様のことが、接着剤やフォトレジストの塗布、露光及びエッチング後のフォトレジストの除去状態などウエハーの表面処理のステップにおいても当てはまります。ウエハー表面の均質性、清浄性及び表面処理状態は接触角測定により評価が可能です。

接触角によるウエハーの表面状態評価

接触角計を使用することで、ウエハーの表面状態(均質性、清浄性、表面処理状態など)を非破壊で評価することができます。ウエハーの接触角評価では一般的に超純水が使用されます。接触角は表面構造や表面の汚れ、組成などの僅かな変化にも敏感に反応して、数値として表れます。KRUSS社の接触角計は専用のウエハー測定用システムにより、ウエハーの特定位置への滴定や全面マッピングなどあらゆる評価が全自動で実行できます。測定された結果から、ウエハー表面の均質性、清浄性や異なる領域での表面状態の違い(例:フォトレジストの露光領域と非露光領域の違い)などを表すことができます。

図1 KRUSS社全自動接触角計DSA100W(ウエハー対応モデル、2~12inchのウエハー測定に対応)

 

図1 KRUSS社接触角計を使用したマッピング評価(水接触角のヒートマップ画像)

 

接触角によるHMDS処理の評価

ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理は、フォトレジストの塗布前の重要な前処理です。主にウエハ表面を疎水化し、フォトレジストとの密着性・接着性を向上させる目的があります。通常ウエハ表面は親水性(表面自由エネルギーの極性成分大)であり、表面張力の極性成分が支配的な水などの液体との濡れ性は良好ですが、一方、分散性分が支配的なフォトレジストとは濡れ性は良好とは言えません。その為、ウエハ表面を疎水化し(表面自由エネルギーの分散成分を増やし)、フォトレジストとウエハの濡れ性を高める必要があります(=密着性・接着性向上)。フォトレジストとウエハの密着性・接着性が良好でないと、デラミネーションやパターン形成の失敗につながります。その為、HMDS処理が適切に行われているかどうかを確認することは非常に重要となります。この評価は、水接触角の測定により行われ、おおよそ水の接触角が50~60°であると目的とするフォトレジストとウエハの接着力が得られると言われています。

関連情報

接触角とは?

表面自由エネルギーとは?

接着とは何か?

関連装置

ダブル滴定ハンディ接触角計・表面自由エネルギー解析装置 MSA

MSAは2種類の試薬の接触角を同時に滴定・測定可能なダブル滴定システムを備える革新的なハンディ接触角計です。これにより、これまで試薬の入れ替えや計算などで手間のかかっていた表面自由エネルギーの測定を、誰でもワンクリックのわずか1秒で行うことが可能です。また、誰もがワンクリックするだけの全自動で簡単・スピーディな測定が可能。高撥水表面であっても少ない液量のまま容易に着液(例えば0.5μlや2.0μlなど)が可能。従来ニードル式で問題となる着液時のニードル高さ位置による接触角値への影響を低減。固体ニードル不使用なのでサンプルを傷つける心配がないという特徴をそなえます。
ダブル滴定ハンディ接触角計・表面自由エネルギー解析装置 MSAの画像

ハンディ接触角計 MSA Flex

MSA Flexは接触角測定機能をハンディタイプに落とし込んだシンプルでコンパクトな装置です。サンプル溶液や試薬などお好みの液体をカートリッジにセットして、接触角や表面自由エネルギーを測定することができます。液滴の作成、着液、データ取得はワンクリックの全自動で行われます。また、捜査はUSBケーブル接続されたPCから行いますが、専用ソフトウェアADVANCEは快適な測定を強力にサポートします。
ハンディ接触角計 MSA Flexの画像

簡易接触角計 DSA25

シンプルなハードウェアで高機能接触角測定を実現する簡易接触角計です。人間工学に基づく操作性抜群の日本語対応ソフトウェア「ADVANCE」との組み合わせにより、手動機ながら思いのままの接触角測定が可能です。着液動作が手動ながら、再現性良く着液可能な独自機構「ドーズ&プッシュ着液システム」を採用した、高い人気を誇る接触角計です。自動液滴作成、手動着液、自動測定による測定システムは使い勝手が良く、一部手動ながらスピーディー・快適・高精度な解析が可能です。
簡易接触角計DSA25の画像

高機能自動接触角計 DSA30

KRUSSのハイエンド全自動モデルDSA100の機能はそのままに、コンパクト化、低価格化を果たしたモデルです。液滴の作成、着液、測定をすべて自動で行うため、人為誤差を最大限に排除した測定をご希望の場合に最適です。マルチシリンジシステムを使用すれば最大4種類の試薬を自動で切り替えながら測定できます。自動軸移動オプションの選択により、XY(θ)軸を自動移動させながら固体上の任意の個所の接触角をワンクリックの全自動で測定することができます。マッピング解析にも対応しており、固体上の濡れ性の分布を可視化することも可能です。

高機能自動接触角計DSA30の画像

ハイエンド自動接触角計 DSA100

接触角計の世界的リーディングカンパニーであるKRUSS社のラインアップの中で、最もハイエンドなモデルです。簡易接触角計DSA25やコンパクトな全自動接触角計DSA30が対応するほぼすべての機能とオプション、A4サイズを上回るような大判サンプルの測定、高圧環境での測定など、ありとあらゆるニーズに応えられる拡張性の高さを備えます。カメラ倍率は無段階7倍ズームと小さな液滴でも常に最適な倍率で高精度に測定することができます。滴定や着液などの各種動作の手動化・自動化はもちろん、最大8種類の試薬切り替えが可能なマルチシリンジ、最大測定可能サンプルサイズW700 x D∞ x H275mmを誇るモデルDSA100Lなど、特殊なサンプルを測定できる各種オプションやモデルを取り揃えています。
ハイエンド自動接触角計DSA100の画像