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高濃度粒子径測定法

原液(高濃度)で粒子径評価のメリット

分散媒に微粒子を分散させ、懸濁液を作る場合、通常微粒子以外に、界面活性剤や高分子等添加剤を使用します。また、電池材料や自動車触媒用の材料等の場合、複数の粒子が使用される場合があります。このような分散系中の分散状態を調べるために、希釈して粒子径を測定すると、ソルベントショックによって分散状態が変わる恐れがあります。そのために、希釈液の選択、希釈倍率、分散処理の条件等を慎重に考慮しなければなりません。原液測定の場合、前処理が不要で、前処理による誤差を省くことができ、より実際の分散系評価が可能なメリットがあります。

原液(高濃度)で粒子径測定の場合考慮すべき因子

原液の分散系は粒子濃度や粘度が高いサンプルが多くみられます。粒子濃度が高くなると粒子間距離が短くなり、粒子間相互作用が働く場合があります。また、高分子によって立体障害による安定化メカニズムが存在する時、粒子同士が高分子の鎖によってつながれています。高濃度分散系を希釈せず高濃度で測定する場合、動的光散乱方式やレーザー回折・散乱方式の場合、多重散乱現象を考慮しなければなりません。また、粒子径解析を行う時には、粒子間相互作用の因子を考慮に入れる必要があります。

濃厚系ナノ粒子径分布測定装置(VASCO

濃厚系図1

本装置は従来の動的光散乱方式の粒子径測定装置ですが、テーブルセル採用と蓋の位置を上下変更させてテーブルセルの上に入れたサンプルの厚みを2mmと100μmに簡単に変更できるのが特徴です。それによって多重散乱を回避できます(左)。また、粒子径解析の時、目的に応じて三つのアルゴリズムを使用することが可能です。ある程度粒子が揃っている単分散の中心径と分布の変化を短時間で測定したい場合、Cumulantベースアルゴリズムを用い、多分散や粗大粒子の粒子径を高感度で検出したい場合、Pade-LaplaceやSBLベースのアルゴリズムを用いることが可能です。上記に粒子径の異なる2種類のラテックス粒子を混ぜて、それぞれのアルゴリズムを用いた場合の粒子径結果です。Pade-Laplaceベースアルゴリズムを用いることによって、二成分の粒子サイズの検出ができたことが分かります。

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超音波方式粒子径測定装置(DT-100

本装置は従来の方式と違って粒子径測定に超音波を用い、超音波減衰分光法(Ultrasonic Attenuation Method)によって粒子径を測定します。超音波は光と違って、サンプルの色が白、黒、青、無色透明であっても、照射された超音波は粒子と相互作用し、その結果を受信機で測定することができる特徴を持っています。では、超音波を利用してどのように粒子径を測定することができるのでしょう。下図は超音波減衰率測定センサーを図にしたものです。超音波測定に使用する超音波は10mW、周波数は1~100MHzを使用します。

濃厚系図2

5vol%アルミナースラリーの場合、上記のような理論超音波減衰率が得られます。標準偏差(st.dev)=0.1でd50が100nm(◇)から500nm(△)に変わると、超音波減衰率のピークが右から、左に変わることが分かります。また、メディアン径(d50)=0.1で、標準偏差が0.1から0.5に変わると、超音波減衰率の形がブロードになってくることが分かります。このように粒子径が変わると超音波減衰率のピークが変わり、分布が変わると超音波減衰率の形が変わることを利用して、粒子径と粒子径分布を測定することが可能です。

濃厚系式1

                                  αmedium:分散媒(添加剤がある場合含む)の超音波減衰率

  α(ω,g):サンプルの超音波減衰率

数式で説明すると、上記のように実際に得られた超音波減衰率は分散媒や添加剤、そして粒子1個1個による減衰率の合計からなります。あらかじめ分散媒の超音波減衰率(αmedium)を測定して登録しておき、次にサンプルの超音波減衰率を測定し、解析の時には分散媒の超音波減衰率を引くことによって、粒子に起因した超音波減衰率を得ることができます。濃厚系における粒子径による超音波減衰量はECAH理論を基に、連結相理論とセルモデル理論を用いて計算でき、実際得られた粒子による超音波減衰率の波形と、分布関数を変えて得られる理論的減衰波形が最も近い分布関数を非線形最小二乗法により解析します。

濃厚系式2

αmeas(ωi):測定した超音波減衰率

αcalc(ωi):計算した超音波減衰率

濃厚系図3

50wt%の水系スラリーの粉砕時間、ShortとLongに変えた時の測定結果です。2回ずつ測定して超音波減衰率の良い再現性と明らかに差が得られ(左)、また、粉砕時間が長い方が粗大粒子が減って、微粒子が多く生成したことが分かります(右)

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