電気化学試験セル PAT-Cell シリーズ

- 概要
- 特徴
- 仕様
PAT-Cellは、ハイスループットで電池材料を再現性よく試験するための試験セルです。
標準タイプ以外にも、高気密性、応力測定用、高温対応、ガス分析用など様々なセルがございます。
1.PAT-Cell
革新的なPAT-Coreコンセプトを採用した、リチウムイオン電池およびその他材料の電気化学試験用三電極セル
・三電極構成による長期ハーフセル測定に対応
・ケーブル不要のセル設計により、PAT-Coreの利点を最大限に活用
・使い捨て構造により、セル部品の洗浄・乾燥が不要
・次世代バッテリー材料にも対応可能な優れた耐食性を実現
PAT-Cellは、電池材料に対する二電極および三電極測定に対応したテストセルです。モジュール構造のPAT-Coreコンセプトを採用しており、多様な測定用途に対応可能です。
本セルには配線がなく、PATバッテリーテスターに直接装着するか、市販のバッテリーテスター/ポテンショスタットとPATドッキングステーションを介して接続します。
また、操作性をさらに高める機能として、PAT-Button(パット・ボタン)をセル底部に搭載。この特許取得済みの電子メモリにより、セルをPATバッテリーテスターに装着するだけで自動的にセル情報を認識できます。
PAT-Cellは、自動化されたハイスループット試験から少量の試験シリーズまで、あらゆる試験シナリオに適しています。
サンプルテスト結果
Alシーリング、NCM 111 vs Graphiteを用いて2000時間のハーフセル電位の測定・観察
PAT-Cell-M
2024年にPAT-Cellの類似新製PAT-Cell Mが販売されました。
PAT-Cell Mは、標準的案PAT-Cellのバリエーションモデルです。
これらの違いは、あらかじめ組み立て済みのセルリッドにあります。
このリッドは、従来のポリマー製シールに加えて、アルミニウム製メタルリッドシールにも対応しています。
この金属製シールは、最高レベルの気密性を実現し、長期測定に特に適しています。
2.PAT-Cell-Press
ガス発生量の測定に対応した高気密テストセル
・参照電極あり/なしのPAT-Core設計に対応
・レーザー溶接型の圧力センサーを搭載(測定範囲:絶対圧 0〜3 bar)
・ガラス-金属シールによる電極貫通構造で優れた気密性を確保
PATシリーズ向け圧力測定対応テストセル
PAT-Cell-Pressは、ガスの発生およびガス圧の測定、さらには(オプションで)ガスサンプルの採取にも対応した三電極構成のバッテリーテストセルです。
本セルは、レーザー溶接型の圧力センサーとガラス-金属シール構造を備えており、極めて高い気密性を実現しています。
非永久的(交換可能)なシール部品は最小限に抑えられており、標準仕様ではセルリッドとベース間の1箇所のみ、オプションのガスサンプルポートを追加した場合でもフェルール1箇所だけです。
すべてのPAT-Cell-Pressは、ヘリウムリークテストを実施し、最高レベルの密閉性能が確認されたうえで出荷されます。
ガス採取が必要な場合、ガス採取ポートが付いているPAT-Cell-Press Sも用意しております。
動作条件:
・PAT-Tester-x および PAT-Tester-i-16 と直接接続可能
・他社製ポテンショスタットと接続する場合は、PAT-Press-Box が必要です
サンプルテスト結果
スーパーキャパシタの定電流/定電圧充放電中に観測される圧力応答
3.PAT-Cell-Force
荷重・温度・ガス圧を制御しながら、電池材料をその場評価できるオペランド対応テストセル
-
セルスタックに加わる機械的荷重を調整・測定可能
-
温度やガス圧下での評価にも対応
-
材料の挙動を実使用条件に近い環境下で operando(その場)観察
PAT-Cell-Forceは、セル内部に加わる力・温度・気体圧を精密に制御しながら、電池材料の電気化学的挙動をリアルタイムで評価できるテストセルです。圧力や力の影響を受ける先進電池材料の研究開発に最適です。
固体電解質の評価に最適な、PATシリーズのオペランド対応テストセル
PAT-Cell-Forceは、セルスタックに加わる機械的荷重を調整・測定できる、PATシリーズの特殊オペランド対応テストセルです。
幅広い荷重調整範囲を備えており、液体電解質を用いたアプロティック系リチウムイオン電池はもちろん、全固体電池構成での試験にも対応可能です。
セルの組み立て時に最大1500 Nまでの荷重を設定でき、充放電サイクル中の荷重変化もリアルタイムでモニタリング可能です。
さらに、ガス圧・温度センサーも搭載可能で、複合的な条件下での評価が行えます。
サンプルテスト結果
初期セル印加圧140NでのNCM 111 vs Graphite in LP30
4.PAT-Cell-HT
本テストセルは、最大200℃の高温下でも安定した電気化学測定を可能にする設計で、熱に敏感な材料や高温動作が求められる次世代電池材料の評価に最適です。
高温環境下での電気化学測定を実現
最大200℃対応:2電極・3電極測定用の高温対応PATシリーズテストセル
PAT-Cell-HTは、最大200℃までの高温環境下で、電池材料に対する2電極または3電極測定を行うためのテストセルです。
本セルは、モジュール式のPAT-Coreコンセプトを採用しており、さまざまな試験目的に対応可能です。
ケーブルレス設計で、PATバッテリーテスターに直接装着するか、PATドッキングステーション経由で市販のポテンショスタット/バッテリーテスターと接続できます。
200℃までの温度領域を最大限に活用するためには、加熱機能付きドッキングステーションPAT-Heater-4の使用を推奨します。
高温下での電池試験の課題に対応するため、PAT-Core専用の特別仕様の絶縁スリーブをご用意しています。このスリーブは、従来のポリプロピレン(PP)製ではなく、耐熱性に優れたPEEK製で、特に固体(セラミック)電解質膜の評価に適しています。繰り返し使用が可能で、標準スリーブと同様にリチウム、ナトリウム、マグネシウムといった各種参照電極材料と組み合わせて使用することができます。
PAT-Coreは、標準の電流コレクター(プランジャー)と組み合わせて使用されます。プランジャーには、使い捨て用としてアルミニウムや銅、再利用可能な素材としてステンレス(316L)やPEEKをご用意しています。
PAT-Tester-xとPAT-Heater-4による完全な測定システム
当社独自開発のポテンショスタット/ガルバノスタット/インピーダンスアナライザー「PAT-Testerシリーズ」により、電池評価に必要な完全な測定セットアップをご提供できるようになりました。
PAT-Cell-HTでの試験には、加熱機能付きドッキングステーションPAT-Heater-4と、4チャンネル対応のPAT-Tester-x-8の組み合わせを推奨しています。
この柔軟な構成は、省スペースかつ簡便な取り扱いを実現し、最大200℃の高温環境下でも、電池材料の評価を効率的に行うことが可能です。
接続例:
5.PAT-Cell-Gas
ガス分析対応テストセル
アプロティック系電池およびキャパシタシステムにおけるガス発生挙動の解析に対応
PAT-Cell-Gas
フロースルー構成でin-situガス分析が可能なPATシリーズテストセル
多用途に対応する in-situ ガス分析用テストセル
PAT-Cell-Gasは、フロースルー構成において電池材料のin-situガス分析を行うために設計されたテストセルです。
本セルは、ECC-Air、ECC-DEMS、PAT-Cell-Pressの機能を統合しており、幅広い用途に対応可能です。
セル本体には、自己保持型カップリング付きのガス流入口・流出口が備わっており、1/16インチ Swagelokチューブ継手に対応しています。さらに、内蔵圧力センサーやシリンジによるガスサンプリング用バルブポートを備えたオプションも選択可能です。
セルスタックは、ガスが流れる貫通孔または溝付きの電流コレクター(フローフィールド)上に設置され、その下を穏やかなガス流でパージします。下側の電極はガス透過性である必要があり、供給ガスとのガス交換が可能です。
本セルは、Li-air電池用のガス拡散電極やメッシュ状の電流コレクターを備えたLiイオン電池用電極との併用に適しています。
独自の構造により、フローフィールドからヘッドスペースへのガスの逆流(バックミキシング)を最小化できるため、たとえば質量分析計による時間分解型ガス分析に非常に適しています。
PAT-Cell-Gasには下記の2つのオプションをつけることが可能です。
・Pタイプ:レーザー溶接型圧力センサー(測定範囲:絶対圧 0〜3 bar)
・Sタイプ:ガスサンプルポート搭載
PAT-Cell-Gasはすべてのバリエーションにおいて、PAT-Tester-xと直接接続可能です。
外部ポテンショスタットを使用する場合、圧力センサー搭載モデルではPAT-Press-Boxが必要となります。
モード1:エアモード(Air mode)
下部プランジャーには多孔プレート(perforated plate)が組み込まれており、これはたとえばLi-air電池などに使用されるガス拡散電極(GDE)の電気化学的評価に適しています。
下部電極は、この多孔ステンレス製電流コレクターを通じて電気的に接続されると同時に、ガスを「呼吸」する構造となっています。
動作中は、セルの上部空間(ヘッドスペース)と多孔プレート下のガス空間との間に生じる圧力差によって、ガスの逆流(バックミキシング)を効果的に防止します。
なお、多孔プレートの下には比較的大きなガス空間が確保されているため、時間分解能は若干低下しますが、そのぶんガス流路の閉塞(目詰まり)に対して高い耐性を持つ堅牢な構成となっています。
モード2:OEMSモード(Online Electrochemical Mass Spectrometry mode)
PAT-Core構成において、下部プランジャーにフローフィールド(流路構造)を用いることで、パージガスがほぼ理想的なプラグフロー(層流)で流れる状態を実現します。これは、定量的かつ時間分解能の高いガス分析を行う上で極めて重要です。
作動電極で発生または消費されるガスは、その直下のらせん状フローフィールドを通るガス流の組成変化として観測されます。セルから排出されるガスの組成は、たとえば質量分析計などを用いて分析できます。
セル上部空間(ヘッドスペース)とらせん状フローフィールドとの間に生じる圧力差により、ガスの逆流(バックミキシング)は効果的に抑制されます。さらに、フローフィールド内部のガス体積が非常に小さいため、最高レベルの時間分解能が得られます。
- 特徴
1.PAT-Cell
・ケーブル不要のテストセルで、PAT‑Coreのすべての利点を享受
・2電極/3電極による1000時間以上の長期試験に対応
・取り扱いが簡単で迅速な組み立てを実現した実績あるセル設計
・非水系および水系電解液の両方に対応
・EL‑Softwareでの自動セル認識を可能にするPAT‑Button搭載
2.PAT-Cell-Press
・PAT-Coreのすべての利点を備えたケーブルレス/テストセル
・レーザー溶接型圧力センサー搭載(測定範囲:絶対圧 0~3 bar、出力信号:0.5~4.5 V)
・ガスサンプリングポート(PAT-Cell-Press S)をオプションで装備可能
・非水系および水系の電気化学測定に対応
・圧力/温度のアナログ出力により、他の装置とのシームレスな統合が可能
・EL-Softwareによる自動セル認識に対応する電子セルID(PAT-Button)搭載
3.PAT-Cell-Force
・最大1500Nまでの加圧調整および荷重測定に対応
・温度/荷重/ガス圧センサーを内蔵
・電子セルタグ(PAT-Button)によるケーブルレス接続(PATソケット経由
4.PAT-Cell-HT
・PAT-Coreのすべての利点を備えたケーブルレス・テストセル
・高温環境下での2電極/3電極測定に対応したPATシリーズ/テストセル
・連続使用温度:最大200°C
・固体電解質膜との使用に対応
5.PAT-Cell-Gas
・PAT-Coreの利点をすべて備えたケーブルレス・テストセル
・1/16インチ Swagelokチューブ継手対応のガス流入口/流出口を備えたPATシリーズテストセル
・圧力センサー(絶対圧0~3 bar)およびガスサンプリングポートをオプションで搭載可能
・EL-Softwareによる自動セル認識を可能にする電子セルID(PAT-Button)搭載
- 仕様
1.PAT-Cell
項目 | 仕様 |
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直径 | 49.5 mm |
高さ | 61 mm |
重量 | 0.4 kg |
電極直径 | 18 mm |
耐熱温度範囲 | −20 ~ 80 °C |
対応PATドッキングステーション&ポテンシオスタット
2.PAT-Cell-Press
項目 | 仕様 |
---|---|
リッド直径 | 49.5 mm |
セルベース直径 | 44 mm |
高さ | 73 mm |
幅(ガスサンプリングポート含む) | 70 mm |
重量 | 0.5 kg |
セパレーター直径 | 21.6 mm |
電極直径 | 18 mm |
動作温度範囲 | −20 ~ +80 °C |
圧力センサー仕様 | |
・測定範囲 | 0 ~ 3 bar(絶対圧) |
・精度 | < 5 mbar |
・分解能 | < 0.2 mbar |
デッドボリューム ※標準リッド使用時
構成 | デッドボリューム |
---|---|
PAT-Core 未装着(テストセル単体) | 8.144 mL |
PAT-Core 装着時 | 3.565 mL |
対応PATドッキングステーション&ポテンシオスタット
3.PAT-Cell-Force
項目 | 仕様 |
---|---|
高さ | 104 mm |
直径 | 49.5 mm |
重量 | 0.8 kg |
セパレーター直径 | 21.6 mm |
電極直径 | 18 mm |
温度センサー測定範囲 | −20 ~ 80 °C |
荷重センサー測定範囲 | 最大 1500 N(電極径18 mm時:最大 5.9 MPa) |
ガス圧センサー測定範囲 | 0 ~ 3 bar(絶対圧) |
動作温度範囲 | −20 ~ 80 °C |
対応PATドッキングステーション&ポテンシオスタット
※ 荷重・ガス圧・温度の各センサーからのデータを取得するには、PAT-Testerが必要です。
4.PAT-Cell-HT
項目 | 仕様 |
---|---|
直径 | 49.5 mm |
高さ | 61 mm |
重量 | 0.4 kg |
電極直径 | 18 mm |
セパレーター/膜の直径 | 21.6 mm |
耐熱温度範囲 | −40 ~ 200 °C |
対応PATドッキングステーション&ポテンシオスタット
5.PAT-Cell-Gas
項目 | 仕様 |
---|---|
長さ | 100 mm |
幅 | 70 mm |
高さ | 116 mm |
重量 | 0.6 kg |
ガス接続 | 1/16 インチ Swagelok チューブ継手 |
電極直径 | 18 mm |
耐熱温度範囲 | −20 ~ 80 °C |
オプション圧力センサー | |
・測定範囲 | 0 ~ 3 bar(絶対圧) |
・精度 | < 5 mbar |
・分解能 | < 0.2 mbar |
デッドボリューム ※メタルシールリッド使用時
構成 | デッドボリューム |
---|---|
PAT-Core未装着(セル単体) | 8.275 mL |
PAT-Core装着、下部プランジャー(AIRモード) | 4.638 mL |
PAT-Core装着、下部プランジャー(フローフィールドモード) | 3.915 mL |
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展示会・ セミナー |
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