本文にスキップする

Turbiscanシリーズ

液中分散安定性評価装置 TURBISCAN

液中分散安定性は懸濁液の時間経過における安定性で非常に重要な項目です。TURBISCAN(タービスキャン)は分散安定性装置の世界標準機であらゆる分野で使用されています。

ラインアップ

TURBISCAN Lab

Turbiscan-new-400pixel

TURBISCAN Lab(タービスキャン・ラボ)は液中分散安定性評価1サンプルの分散状態を自動で高精度にスキャンします。安定性の可視化、視覚化を可能としたTURBISCAN Labはまさにあなたの実験室(Lab)になくてはならない1台です。

測定間隔は最短30秒で不安定化するサンプルでも分散性の変化を正確にとらえることが可能です。プログラム測定で自動長期測定の他、サンプルを手動で入れ替え複数サンプルを並列で測定も可能です。60度までの加熱温調機能を搭載したモデルでサンプルの不安定化を促進、試験時間の短縮化を果たすことができます。

TURBISCAN Tri-Lab

microtrac_trilab01

TURBISCAN Tri-Lab(タービスキャン トライラボ)は最大で3サンプルの分散安定性を同時、または並行して測定することができるTURBISCANシリーズの新しいモデルで常温から温度制御も可能です。

複数サンプルをまとめて測りたい方に適したタイプです。20~60℃温調が可能で室温帯の温度制御も可能です。装置本体にはカラーモニタが搭載されており、各サンプルスロットの状況をTSIのカラーで視覚的に確認できます。

TURBISCAN Tower

microtrac_tower01

TURBISCAN Tower(タービスキャン タワー)は最大で6サンプルの分散安定性を同時に測定することができるTURBISCANシリーズの最上位モデルです。繰り返し精度、高さ方向の分解能は最高精度を誇り、ペルチェ素子による冷却システムとヒータ加熱温調の組み合わせで精度の良い温度制御も可能です。

6サンプル測定時は6サンプルの同時測定を約2分かけて実行しますが、サンプル数を絞ればより高速な測定も可能となります。温調は4~80℃と冷却にも対応。装置本体にはカラーモニタが搭載されており、各サンプルスロットの状況をTSIのカラーで視覚的に確認できます。

モデル  特徴 スタンダードな用途例
TURBISCAN Lab 1サンプルを高精度で連続スキャン。加温温調可、最短 30秒間隔で測定。 研究開発、少量サンプルの初期評価、品質検証など。
TURBISCAN Tri-lab 最大 3サンプル同時測定。温調対応、コンパクト設計、効率的な試験が可能。 複数処方比較、条件比較、品質管理など。
TURBISCAN Tower 複数スロット(モデルにより 6 検体など)同時計測で、量産前評価や大量サンプルの安定性チェックに最適。 生産プロセス管理、大量サンプルの安定性確認、品質管理など。

特徴

分散安定性は、粒子径、濃度、粒子間相互作用、粒子表面、粘度等が複合的に関連します。そのため系をなるべく壊さず理想的には原液のまま評価することが望まれます。

Turibscanは光多重散乱SMLS原理を用いて、高濃度分散体の安定性評価をサンプルを無希釈、非破壊で測定することが可能で分散安定評価に理想的な装置です。

測定原理は以下の通りです。高濃度に分散体を含むサンプルをそのままガラスボトルにサンプリングし、ボトル外から光を当ててその透過光(T Transmittance)・後方散乱光(Back Scattering BS)を測定します。これら光強度は粒子濃度、粒子径、粒子と溶媒の屈折率に依存するため、サンプル間で強度に差があれば、これら3要因に違いがあることが示唆されます。

さらに光強度を一点ではなく、高さ方向に高精度にステージを移動させながら高さ(位置)ごとに透過光・後方散乱光を測定(スキャン)します。

液中に分散体が均一に存在している場合、スキャンを繰り返しても透過光・後方散乱光の検出感度は変化がありません(粒子径、濃度が安定で変化がない)。

しかし、例えば分散体が沈降を起こす場合、サンプルボトルの底側の分散体濃度は増加し、上側の濃度は低下します。

その場合検出される後方散乱光も底側で増加し、上側で低下するという変化が見られます(透過光は逆)。

 

エマルションなど粒子がクリーミング(浮遊)するものは上記とまったく逆のパターンとなり、透過光・後方散乱光は底側で低下し、上側で上昇するという変化が見られます。

また、分散粒子は移動だけではなく、サイズ変化を起こすことがあります。主に凝集、合一によるサイズの増加ですが下記のような変化が起こります。

 

これらの時間変化による分散体の変化を読み取ることで分散状態の不安定化の機構を解明することができます。

また、人間の目では捉えることができないような見ることができない変化やわずかな差をクリアに評価することができるのもTURBISCAN(タービスキャン)の特徴です。

測定にはデザインと操作性を追求したマルチ言語対応ソフトウェアのTurbiSoft(タービソフト)を使って行います。試験途中でも分散状態の変化を簡単に確認することができ、様々な数値化が可能です。

TSI (Turbiscan stability Index): 各スキャンごとの強度変化分の絶対値の平均値を積算します。初期からのあらゆる変化をを加味した解析で数値が高いほど不安定であると解釈されます。ワンクリックで実行可能です。

平均値(Mean):任意の位置範囲のBS、Tの平均値です。ボトル上の上澄み変化のみ、ボトル下の沈殿物生成のみに着もした解析に適しています。

ピーク厚(Peak Thickness):任意のBSまたはTに達したボトル位置をプロットします。上澄み高さ、沈降速度、沈殿高さの解析で適しています。

SMLS平均径:BS, Tから粒子濃度、屈折率を用いて平均径解析します。原液のまま粒子径解析が可能です。

粒子径分布:沈降速度からストークスの式を用いて解析します。濃度依存関数を利用し原液評価アプローチもございます。*オプション

分散安定性評価の加速化の注意点

 液中分散体の安定性試験は短いものでは数分~数十分程度で終わるものありますが、長期にわたり安定なものも存在します。その場合、同じ装置を数か月から年単位で使用することは難しいため、「不安定化を促進できないか?」というアイデアに行き着きます。

 分散粒子は重力の影響を受けながら沈降・浮遊していきますので遠心分離を行い重力の影響を大きくし、不安定化時間を著しく短時間化するというのが解決策と思われがちです。しかしながら、これはサンプルによってはサンプル容器内でバックフローが発生したり、大きな重力ストレスが発生することによる構造破壊が起こったりすることなどが原因でまったく相関がない結果が得られてしまう大きな落とし穴となります。また、重力の影響によらない凝集や合一の現象が同時に起こるような分散の不安定化の場合は正しい結果が得られません。

 そのため、TURBISCANでは実状況と相関がある結果であることを最重要視し、試験時間の短縮化だけを目指した遠心分離を選択せず、不安定化の促進に有効とされている「加熱」を推奨しています。室温での貯蔵状況の試験であっても40℃や60℃など高温状態での試験を行うことで最大200倍の不安定化促進が確認されています。

 本来は良い分散安定性を持つサンプルが安定性が悪いという間違った評価とならないよう、ご注意ください。

仕様

  TURBISCAN Lab TURBISCAN Tri-lab TURBISCAN Tower
再現性 / 繰返し精度 ±0.05%/ 0.05%*標準ラテックスの場合 ±0.05%/ 0.05%*標準ラテックスの場合 ±0.05%/ 0.05%*標準ラテックスの場合
サンプルボトル容量 20ml (オプションで4mlボトル使用可能) 20ml (オプションで4mlボトル使用可能) 20ml (オプションで4mlボトル使用可能)
測定間隔 最短30秒 最短2分(6サンプル同時測定時) 最短2分(6サンプル同時測定時)
分散体濃度範囲 最大95%v/v 最大95%v/v 最大95%v/v
評価可能粒子サイズ範囲 10nm ~ 1mm (ただし分散体の屈折率による) 10nm ~ 1mm (ただし分散体の屈折率による) 10nm ~ 1mm (ただし分散体の屈折率による)
温度調整 室温+5℃~60℃ 20℃~60℃ 4℃~80℃
所要電源 100Vac 50/60Hz 2A 100Vac 50/60Hz 100Vac 50/60Hz 8A
寸法・重量 W38 x L42x H32cm 13kg W35 x L45x H90cm  35 kg W35 x L45x H90cm 45kg
準拠 TR 13097, TR 18811, TS 22107, TS 21357 TR 13097, TR 18811, TS 22107, TS 21357 TR 13097, TR 18811, TS 22107, TS 21357
主な評価項目 分散体の定量的モニタリング、分散体移動速度評価、流体力学的粒径評価、TSI不安定化指標解析、光学的平均粒径評価 分散体の定量的モニタリング、分散体移動速度評価、流体力学的粒径評価、 TSI指標解析、光学的平均粒径評価 分散体の定量的モニタリング、分散体移動速度評価、流体力学的粒径評価、 TSI指標解析、光学的平均粒径評価
その他 バーコード管理機能、測定毎自動校正機能、標準サンプルによる確認機能あり バーコード管理機能、測定毎自動校正機能、標準サンプルによる確認機能あり バーコード管理機能、測定毎自動校正機能、標準サンプルによる確認機能あり

導入事例

  • シャンプーの白化剤の分散性評価
  • サンスクリーン剤(酸化チタンなど)の分散性評価
  • 乳液のエマルション安定性評価
  • エマルション安定化のための界面活性剤の最適化(種類、濃度)
  • シェービングフォーム、クレンジングフォームなどの泡安定性評価、サイズ変化評価
  • 乳製品のクリーミングの評価
  • 飲料のリング現象の評価
  • コーヒー飲料、マヨネーズのエマルション安定性
  • 原油の分散性評価
  • インク、塗料の顔料の分散性、安定性
  • 溶解性インクの析出沈降評価
  • 非経口剤のエマルション安定性
  • ナノ粒子のドラッグデリバリー評価
  • 点眼剤の分散性評価
  • カーボンナノチューブ、CMPスラリー、その他スラリー全般の分散性、分散安定性評価