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フロリダ・アリゾナ屋外暴露受託試験 屋外暴露試験

フロリダ・アリゾナ屋外暴露受託試験
屋外暴露試験

自然界において、太陽光、気温の変化、雨や風などが劣化を与えます。劣化の種類としては、外観の劣化(変色、光沢、剥離、ひび割れなど)、形態の劣化(密度・結晶化度の増減)、物性(熱的性質、力学特性など)、化学変化(結合の切断、架橋・側鎖の反応、官能基の変化など)が挙げられます。
紫外線量や気温、降水量などは地域により大きく異なり、それによって劣化具合にも差が生まれます。
常に気候を観測されている屋外暴露場で試験することは、どのような環境で暴露試験しているのかを明確にし、試験機による試験結果との比較や劣化要因の推定に寄与します。

  • 概要
  • 特徴

屋外暴露試験とは?

屋外で使われるどのような製品も自然界の太陽光、気温の変化、雨や風などが劣化させます。劣化の種類としては、外観の劣化(変色、光沢、剥離、ひび割れなど)、形態の劣化(密度・結晶化度の増減)、物性(熱的性質、力学特性など)、化学変化(結合の切断、架橋・側鎖の反応、官能基の変化など)などが挙げられます。
このように材料が実際に屋外環境でどのように劣化していくのか、製品の研究開発段階にてその情報を知ることは非常に重要です。なぜなら、製品が市場に出る前の品質リスクを知ることができ、その製品の耐用年数や寿命を精確に把握することができるからです。このような試験方法は屋外暴露試験と呼ばれており、国内でももちろん、海外でも様々な業界の企業が実施しています。

屋外暴露試験にあたって、どこで試験を実施するか考慮する必要があります。地域によって紫外線量や気温、降水量は大きく異なり、それによって劣化モードや促進性にも差が生まれます。
また、その試験場にて常に気候の様々な情報を観測されていると好ましいです。それらのデータはどのような環境で暴露試験しているのかを明確にし、耐候性試験機による試験結果との比較や劣化要因の推定に用いることができます。

Q-Lab社では米国フロリダ州・アリゾナ州の2サイトに屋外暴露試験場を所有しており、ISO17025認定を受けているラボになります。屋外暴露試験のご依頼はもちろん、測色・光沢測定、各種物性値の特性評価、写真撮影など評価サービスもしております。

なぜフロリダ屋外暴露試験場が選ばれるのか?

米国フロリダ州の気候は亜熱帯地域特有の高温度かつ高湿度、降雨量が非常に多いことで知られています。それに加えて強い日光もあるため劣化を促進させるにあたって重要な「光・熱・水」の3要素がバランスよく存在する気候です。バランスがとれているため精確な試験結果が得やすく、フロリダでの1 年間の屋外暴露試験は他の地域における試験の数年分の劣化に相当することもあるといわれています。そのような気候条件のため80年以上前から屋外暴露のベンチマーク試験場として知られています。屋外暴露試験方法はJIS, ISO, ASTMなどの国際的試験規格や自動車OEM試験規格、SAE, AAMAなど様々な試験規格に策定されていますが、フロリダサイトでの試験が最も多く推奨されています。

フロリダ試験場では以下のような劣化モードを再現するにあたって有効といわれています。

  • 変色、色あせ、光沢値低下
  • ひび割れ、剥離、チョーキング(白亜化)、ブリスター(ふくれや気泡)
  • 機能的強度の低下と物理的劣化
  • コーティング、建築資材、プラスティックのような湿気に弱い製品
  • カビ、白カビ、菌類、藻を含む生物分解
  • 促進腐食試験
暴露

Q-Lab社のフロリダ屋外暴露試験場は世界最大の敷地面積を誇ることで有名です

Q-Lab社フロリダ屋外暴露試験場が全米放送のニュースで取り上げられたときの様子。

 

なぜアリゾナ屋外暴露試験場が選ばれるのか?

米国アリゾナ州の気候は砂漠地域特有の高温度かつ低湿度、降雨量が非常に少ないことで知られています。それに加えてじりじりと照りつける非常に強い太陽光で紫外線量が非常に強いことが特徴的です。フロリダサイトと比較すると太陽光の照射量は20%以上強く、年間平均温度は10℃以上高いため、太陽光と熱の劣化促進が期待されます。このような気候のためアリゾナでは促進性を狙うことができ、長寿命の耐久消費財が試験されることが多いです。その関係で自動車や建材などの試験規格でよく規格化されています。

アリゾナ試験場では以下のような劣化モードを再現するにあたって有効といわれています。

  • プラスチックの機能的強度の低下や物理的劣化
  • 熱膨張効果やCTE(熱膨張率)のずれ
  • 最大耐熱度調査
  • 変色、色あせ、光沢値低下
  • 自動車部品や標識の亀裂、ゆがみ、熱老化
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アリゾナ試験場の様子

また、アリゾナでは一日中照らされ続ける強い照度の太陽光を用いて特殊な促進試験にも対応しています。

Q-Trac®(キュートラック)太陽追跡集光型屋外促進暴露試験

建材や車関係のパーツでの屋外暴露試験は求められる耐久年数が非常に長いため、屋外暴露試験では数十年にわたる非常に長い期間を要します。Q-Trac太陽追跡集光型屋外促進暴露試験は、10枚のフレネル反射鏡を搭載しており、その反射光を集光させることで、サンプルに屋外環境における8倍もの照射量を与えることができる装置です。また、その光は自然環境の太陽光を用いるため、ある程度の屋外との相関性を担保しつつ促進試験に似た試験結果を迅速に提供します。

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Q-Trac®動作時の様子

  • 特徴

各種屋外暴露試験方法について

屋外暴露試験を行う際には、試験を実施する自然環境の選択とともにその暴露手法を選定することも有用なデータを得るにあたって非常に重要です。屋外暴露試験は屋外に長期間設置するだけのため、シンプルと思われがちですが、実際には様々な試験方法があります。それらの試験方法の選定にあたって、試験サンプルが実際に市場に出たときにどのような環境で、どのように使われるのか、詳しく把握することが非常に必要です。実環境と異なるような試験環境で試験をしてしまうとせっかくの長期の試験結果が製品が市場に出た後の結果と間違ったものにつながる可能性があるからです。

直接暴露試験方法について

試験サンプルは暴露架台にそのまま取り付けられ、大気に曝す試験方法です。最も広く試験一般的に試験されている方法になります。屋外で直接日光にさらされるものや外装品に適している方法です。試験サンプルは最終使用環境下に近い角度で設置することが好ましいです。代表的な角度としては、45°、5°、0°、90°、緯度角が挙げられます。季節によって設置する角度で照射量が変わるため、目的に応じて選択する必要があります。もう一つの条件としては裏当ての有無です。裏当てはサンプルの背面に合板を差し込み、あえて熱をこもりやすくしてサンプル表面温度を通常よりも上げる試験方法です。

無題

試験サンプルが暴露台に設置されている様子。裏あてありの条件だとサンプル表面温度が高まり、促進性が期待できます。

アンダーグラス暴露試験方法について

試験サンプルは窓ガラスを取り付けた暴露架台の中に設置され、屋内環境をシミュレーションするような試験方法です。繊維、印刷物、自動車の内装材など屋内で使用されるものに適している試験方法になります。直接暴露試験方法とは異なり、窓ガラス越しに試験されるため屋外の降雨や結露から守られる試験になります。一般的には45°で試験されます。特殊な試験規格の場合には窓ガラスの厚みも指定することもあります。

窓ガラス

降雨や結露など、基本的に濡れないような試験サンプルもこの試験方法が推奨されます

ブラックボックス暴露試験方法について

ブラックボックスはアルミニウム製の試験箱で内外面ともに全面に黒色処理を施している特殊な暴露台です。その上面に試料を取り付ける試験方法になっています。黒色で金属製の箱のため、太陽光からの熱を蓄熱しやすく、高温環境下で試験をすることができます。ブラックボックスが作り出す環境は屋外に設置された自動車のボンネットやトランク上の温度環境を良くモデリングするため、自動車OEM規格向けに実施されることが非常に多いです。この試験方法はアンダーグラス試験にも対応できるため、自動車の外装品・内装品ともに試験することができます。

blackbox

ブラックボックス上に直接試験サンプルを設置することで、最終製品が曝される環境により近い条件で試験することができます

AIM(Automotive Interior Materials)ボックス暴露試験方法について

AIM (エイム)ボックス試験方法は非常に特殊な試験方法で、アリゾナ試験場でのみ実施しております。この試験方法はアンダーグラスブラックボックス試験方法と似ており、自動車内の熱と入射する窓越しの太陽光を再現します。ただし、AIM ボックスは日中太陽光を追跡するので、これらの劣化要素を促進させます。  代表的な試験規格としてはASTM G201やGMW 3417が知られています。

自動車の内装物の試験は普段の屋外暴露試験では再現しきれないことが多いです。なぜなら、大気気温と車内特有の温度のこもりかたは全く別物だからです。実際、車内の温度は、平均気温が高い地域だと100℃を超えることもあります。そのうえ、内装物に届く太陽光は自動車の窓を透過するため、自然の太陽光とは異なります。

 

2AIM Box Side

樹脂製の車載品サンプルを試験している様子です。

Q-Trac®(キュートラック)太陽追跡集光型屋外促進暴露試験について

Q-Trac太陽追跡集光型屋外促進暴露試験は非常に特殊な試験方法で、アリゾナ試験場でのみ実施しております。この試験方法は屋外暴露試験を太陽光照射量の面で試験期間を促進したい場合に選択されます。Q-Tracシステムは10枚のフレネル反射鏡を搭載しており、その反射光を集光させることで、サンプルに屋外環境における8倍もの照射量を与えることができる装置です。日の出から日没まで、方位角(水平位置)と高度(垂直位置)の両方において太陽の位置を自動的に追跡します。これらの反射鏡とトラッキング機能の組み合わせにより、試験サンプルでの照射量を最大限に増加させます。Q-Tracは水噴霧システムも装備しており、フロリダでの耐候性試験をシミュレートする、あるいは熱変化ショックを起こすといった様々なサイクルの設定が可能です。

Q-Trac photo

技術情報 Technical information
  • 耐候性とは?
  • ジオテキスタイル 耐候性試験
  • ASTM D7869 耐候性試験規格
  • 光耐久性(紫外線) シミュレーション
  • 屋外劣化シミュレーション
  • 水分劣化 シミュレーション
  • ヒートショック シミュレーション
  • 歯科材料 安定性試験
  • 化粧品 光安定性試験
  • VW PV1303(フォルクスワーゲン) 自動車内装材耐候性試験規格
  • フラットパネルディスプレイ 耐候性試験
  • フレコン 耐候性試験
  • レンズ 耐候性試験
  • 木材 耐候性試験
  • 塗料 耐候性試験
  • 建材 耐候性試験
  • 添加剤・着色剤業界 耐候性試験
  • 腐食劣化 シミュレーション
  • 繊維業界 耐候性試験
  • 印刷物 耐候性試験
  • 食品 保存試験
  • Volkswagen 各種耐候性試験規格について
  • ゴム 耐候性試験
  • AAMA2605 屋外暴露試験・腐食試験方法
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