本文にスキップする

日焼け止め評価での新しいISO規格とは?

新しいISO規格の全体像(結論と要点)

2024年にIn vivo試験を必要とせずIn vitro SPF 試験法のみで完結する ISO 23675:2024 と、ヒト皮膚の拡散反射測定とIn vitro試験を組み合わせる ISO 23698:2024(HDRS法) が発表されました。
従来のIn vivo中心(ISO 24444)に対し、新しい試験法として倫理性・再現性・実務効率でのメリットがある試験方法です。
本記事では内容のポイントと、実装に必要な装置・手順など解説します。

eBookをダウンロード

ISO 23675(In vitro SPF:ダブルプレート法)のポイント

  • In vivoデータを必要とせず、In vitroのみで完結
  • PMMAプレートの温度管理(THERMASTERの使用推奨)。
  • PMMAプレート2種(HD6 / SB6)を使用し、塗布は自動ロボットで実施。
  • SPFアナライザー(例:UV-2000S / UV-3000S)で透過・吸光スペクトルを測定。
  • ソーラーシミュレーターにより光安定性試験(紫外線暴露)を実施。
  • 光安定性試験前後の測定結果を利用。

従来法(ISO 24443/他)との違い

SPF値算定のためにIn vivoを必要としていた従来スキームと異なり、In vitro単独で規格適合が可能
プレート仕様・塗布方法・測定方法の標準化により、試験間の再現性を高めます。

ISO 23698(HDRS:Hybrid Diffuse Reflectance Spectroscopy)のポイント

  • ヒト皮膚のUVA反射などを低照射量(最小紅斑量の5%以下)で測定。
  • In vitro測定(SPFアナライザー)と皮膚反射データをハイブリッドに換算。
  • 被験者の負担・倫理面リスクを抑えつつ、In vivoに近い評価を再現。

従来のIn vivo(ISO 24444)との違い

背部照射で紅斑判定を行う従来法に比べ、肌への紫外線曝露量、試験時間が抑えられ倫理・費用面での改善が見込まれます。In vitro側の手順や装置要件はISO24444/24443/23675の一部が使用され規格内に採用されています。

規格対応に必要な装置・サブストレート品

必須(規格上明示)

  • SPFアナライザー:UV-2000S / UV-3000S(SPF/UVAPF/臨界波長/1nm透過率・吸光度)
  • 自動塗布ロボットSPREADMASTER(均一塗布・再現性向上)
  • PMMAプレートHD6(標準)/SB6(サンドブラスト)の両方
  • ソーラーシミュレーター:光安定性・曝露条件の標準化
  • 光反射測定器(HDRS:ISO 23698のみ必須)

推奨(再現性・安定化)

規格適合外だが活用可能

  • 光安定性試験機 Q-SUN:欧州系ガイドライン(Colipa等)での光安定性試験に有用。パッケージなど立体物の耐候性評価にも活用可能。
  • ビトロスキン(Vitro-Skin):耐水性評価等、肌に関する様々研究用途にて利用可能。

本規格で期待されること

  • 再現性向上:装置での測定のため被験者間での結果のばらつき低減が期待できます。
  • 倫理面での改善:In vivo試験ではヒト肌を紫外線曝露させ、ダメージを与えていましたが、ISO23698では最小紅斑量の5%程度の曝露しか行いません。
  • 費用面での改善:ISO23675では特に被験者募集の面でのコスト削減が期待されます。

よくある質問(FAQ)

日本国内の表示・試験法はどう変わる?

現在、日本国内では日焼け止めなどのラベルへの記載に際し、In vivo試験(ISO24444)の結果が必要となりますので、2つの新しいISO規格は日本国内での標準試験ではございません。

In vitro試験への移行など、今後の動向などについては注視してご確認頂けますと幸いです。

最低限そろえるべき装置は?

SPFアナライザー、PMMA(HD6/SB6)、自動塗布ロボット、ソーラーシミュレーターはISO23675では必須、ISO23698ではISO23675の必要装置に加え、光反射測定器が加わります。PMMAプレートの温度制御は測定結果の再現性の観点から使用が推奨されています。

無料eBookダウンロード

「日焼け止め評価での新しいISO規格」についてeBookにまとめましたので、ダウンロードの上ご覧ください。

無料でeBookをダウンロード