FZG
動力循環式歯車試験機 FZG
FZG歯車試験機は、ギア油、タービン油、ATF、CVTF、作動油など、各種潤滑油の高負荷条件下における耐摩耗性・耐スカッフィング性・疲労特性を評価する動力循環式の歯車試験機です。
1950年代にミュンヘン工科大学歯車研究所(FZG: Forschungsstelle für Zahnräder und Getriebebau)により開発され、実際の平歯車を用いてスカッフィングやピッチングなどの損傷形態を実機に近い形で再現・評価できる点を特長としています。
現在では、DIN規格をはじめとする各種規格試験に対応した潤滑油およびトランスミッション油の性能評価機として、研究・開発・品質評価の分野で広く使用されています。
特徴
試験原理・構造図
FZG歯車試験機は、2本の平行シャフトと駆動用ギア・試験用ギアで構成された動力循環式(閉ループ構造)を採用しています。駆動モーターの回転により、スレーブギアボックス、テストギアボックス内の一対のギアが、トルクを付加した状態で連動して回転します。このとき、各ギアボックス内の潤滑油中で生じる歯車の摩擦・摩耗挙動を評価します。
本装置では、一方のシャフトにクラッチ機構を備え、重錘を吊り下げることでシャフト間に所定のトルク(ねじり荷重)を付与します。重錘の組み合わせにより負荷を調整し、所定の荷重を与えた後にクラッチを固定することでトルクを保持します。これにより、安定した負荷条件下での試験が可能となります。
もう一方のシャフトはトーションシャフト(ねじれ軸)構造となっており、動力循環(閉ループ)内に発生する荷重を維持する役割を担います。このトーションシャフトの延長線上に駆動モーターが配置されており、モーターによりギアを回転させることで、負荷を与えた状態のまま試験を実施します。
- 重錘式トルク付加試験機構
- 動力循環式(閉ループ構造)
- 安定した荷重保持
- 実ギアでの損傷再現性
ギアの接触面は、すべりと転がりが混在する線接触の混合摩擦状態であり、局所的に高い応力が集中する非常に過酷な環境です。本試験機では実際の平歯車を用いることで、スカッフィングやピッチングなど、ギア特有の損傷形態を実機に近い形で再現・評価することが可能です。
また、オプションとしてスプレー潤滑噴射ユニットも用意しており、潤滑条件を変えた試験にも対応できます。
荷重ステージとトルク・ヘルツ圧の関係
以下は、FZG試験にて代表的に用いられる荷重ステージと、それに対応するピニオントルクおよびヘルツ接触応力の目安です(規格例)。
| 荷重ステージ | Pinionトルク [Nm] | ヘルツ圧 [N/mm²] | 荷重装置の組み合わせ |
| 1 | 3.3 | 146 | H1 |
| 2 | 13.7 | 295 | H2 |
| 3 | 35.3 | 474 | H2 + K |
| 4 | 60.8 | 621 | H2 + K + W1 |
| 5 | 94.1 | 773 | H2 + K + W1 + W2 |
| 6 | 135.3 | 927 | H2 + K + W1 + W2 + W3 |
| 7 | 183.4 | 1080 | H2 + K + W1 … W4 |
| 8 | 239.3 | 1232 | H2 + K + W1 … W5 |
| 9 | 302.0 | 1386 | H2 + K + W1 … W6 |
| 10 | 372.6 | 1538 | H2 + K + W1 … W7 |
| 11 | 450.1 | 1691 | H2 + K + W1 … W8 |
| 12 | 534.5 | 1841 | H2 + K + W1 … W9 |
※荷重ステージ13,14用の重錘はオプションとなります。
※H1は軽レバー、H2は重レバー、Kは錘ハンガー、W1~11は重錘となります。
試験終了後の試験歯車の観察例
対応試験・アプリケーション
FZG歯車試験機は、グリースおよびギア油の耐摩耗性、耐スカッフィング性、疲労寿命評価を目的とした各種規格試験に対応しており、ISO/DIN/ASTM規格に基づく評価のほか、研究用途としても多数の技術文献が発行されています。
| 試験名 | 試験法(規格) | 評価対象 | 仕様 |
| スカッフィング試験 | ISO 14635-1 DIN 51354-1/2 |
ギア油 | 標準対応 |
| グリース・スカッフィング試験 | ISO 14635-3 DIN Fachbericht 74 |
グリース | 標準対応 |
| EPステップ試験 | ISO 14635-2 | API GL-4 ギア油 | 標準対応 |
| EPショック試験 | FVA 243 | API GL-4 / GL-5 ギア油 | 標準対応 |
| 耐摩耗試験 | ASTM D4998 | 油圧作動油 トランスミッション油 |
標準対応 |
| ピッチング試験 | FVA 2/IV | ギア油 | 標準対応 |
| マイクロピッチング試験 | FVA 54 / I–IV | ギア油 |
スプレー潤滑装置(オプション) |
※試験の運転条件・詳細につきましては、各試験法の規格をご参照ください。
仕様
| 項目 |
仕様 |
| 接触形態 | 平歯車VS平歯車 |
| 加重範囲/加重形式 | 3.3-534.5Nm(12ステージ)/重錘式 |
| 最大回転速度 | 100-3,000rpm 逆転機構付き |
| ヒーター温度 | 最大120℃/スプレーユニット最大90℃ |
| 寸法(W×D×H)/重量 |
・本体:180cm×60cm×160cm/800㎏ ・制御盤:100cm×60cm×220cm/310㎏ ・スプレーユニット:100cm×50cm×110cm/100㎏ |
| 電源 | 三相400V,50-60㎐,63A |
| その他設備 |
・冷却用水道水(3-5L/分) ・防音壁または防音室 |
