細孔径と関連分野、その測定法について記載しています。測定法については弊社取り扱いの数nm以上の細孔径を測定可能なポロメーター、ポロシメーターの測定原理について詳しく記載しております。
細孔径は、多孔質材料内部に存在する孔(細孔)の大きさのことです。フィルターや分離膜、電池材料、触媒、吸着材、不織布、セラミックス、医薬品など、多くの研究開発分野で性能を左右する指標として利用されています。例えば、ろ過性能、透過性、保持力、反応効率、吸着容量、電解液の浸透性などは細孔構造に大きく影響されます。
より具体的な例として、フィルターや分離膜では透過流量や捕集性能、不織布では保液性や通気性、電池材料ではイオン輸送性や電解液保持性、触媒では反応効率や活性に影響します。そのため、材料開発や品質管理において細孔径分布を正確に評価することは、性能向上や製品の安定化、新規材料の設計に欠かせない重要な分析技術となっています。
細孔は、完全に閉じた閉孔(Closed pore)、入口出口が空いている開孔または貫通孔(through pore), 片側が閉じた閉塞孔(blind pore)に分類されます。フィルター分野では、物体をろ過するという性質から貫通孔が重要です。
細孔径(直径)による分類がISOで定義されております。
・ミクロポア (Micropore) :< 2 nm 吸着が強く起こる領域。活性炭・ゼオライトなど
・メソポア (Mesopore) :2 ~ 50 nm 触媒担体・シリカゲルなど。
・マクロポア (Macropore) :> 50 nm フィルター・多孔質セラミックスなど
ミクロポア 2nm以下はN2やCO2のガス吸着法(BET)で行われる領域で基本的に貫通孔と閉塞孔を測定し、メソポア以上は水銀(Mercury))・水圧入法(Hydropore)ポロシメーターで貫通孔と閉塞孔を測定し、気-液(CFP)、液-液(HLP)ポロメーターでは貫通孔を測定します。評価対象により細孔径測定装置の種類を決定する必要があります。
BET法による細孔径評価では、試料表面および細孔内に吸着するガス(一般的には窒素ガス)の吸着量を測定します。まず試料を加熱・脱気して表面の水分や不純物を除去し、その後、液体窒素温度下で窒素ガスの吸着等温線を取得します。得られたデータからBET法により比表面積を算出し、さらにBJH法やDFT法などの解析手法を用いることで細孔径分布や細孔容積を評価します。この方法は主にミクロ孔(2 nm未満)やメソ孔(2~50 nm)の評価に適しており ます。
キャピラリーフロー法には気液、液液の方式があり、その装置をポロメーターと一般的に呼びます。まず気液ポロメーターについて記載します。サンプルをセルにセットし、まずドライサンプルにガスを流しドライカーブを得ます(理論上の最大流量)。次にサンプルによく濡れる液体を注入し、その後ガス圧で液体を押し出します。押し出すために必要な圧力と細孔径には下記のYoung-Laplace (Wilhelmy)の式が成り立ちます。そのため押し出し圧力を測定することで細孔径が得られ流量を測定することで分布を得られます。
式より細孔が小さいほど高圧が必要です。ここで測定される細孔径は個々の細孔中の最も小さいくびれ部分になります。液液ポロメーターは、押し出す物質が液体になります。液液ポロメーターは濡れ液L1と押し出し液L2の界面張力が気体-液体よりはるかに小さいため、より小さい細孔中の液を低圧で押し出すことができるため、気液より小さい細孔を測定することが可能です。
測定データ
湿潤液体が孔から排出するための圧力と流体量を測定し流量ー圧力曲線を得ます。
縦軸 ガスまたは液体の流量 (L/min) 横軸 圧力 (PSI)
ドライカーブ (Dry curve) *液液では参照カーブ
完全乾燥サンプルにガスのみ流し理論的上の最大流量を測定
ウェットカーブ (Wet curve) *液液では置換カーブ
良く濡れる液体に満たした後、液体を排出するときのカーブ
½ ドライカーブ ( ½ Wet Curve)
計算より求めるドライカーブの1/2の仮想曲線。
バブルポイント(Bubble point 最大細孔径)
気泡が出始め液体が排出され始めた圧力から計算
最小細孔径(Smllest Pore Diameter)
ウェットカーブがドライカーブの交点となる圧力から計算
平均流量細孔径(Mean Flow Pore Size )
1/2ドライカーブととウェットカーブとの交点から求めた径
水または水銀圧入法は、サンプルに圧力で水または水銀を空の細孔へ侵入させるときに必要な圧力を測定し細孔径を計算します。この時、圧力と細孔径には下記のWashuburnの式が成り立ち細孔径を計算できます。当方式では狭窄したサイズ以外も加味されます。水銀は表面張力が高く材料に濡れないため様々な材料に適応可能ですが、有害物質であり取り扱いに注意が必要です。一方、水は親水性物質に濡れてしまうため、疎水性材料のみが対象となります。しかし水は安全で取り扱いが容易であり、水銀よりも低圧で細孔へ侵入するためマイルドな測定が可能で脆いサンプルも測定しやすい利点があります。
測定データ
液体が孔に侵入するための圧力と圧入体積を測定し圧入曲線を得ます。
縦軸 水の侵入体積 (cc) 横軸 圧力 (PSI)
弊社では、かつて細孔径測定機で有名だったPMI出身の技術者が立ち上げたPORETECH社の高性能な細孔径分布測定装置のポロメーター、水圧入法ポロシメーターを取り扱っております。その中で、UNPポロメーターは気液、液液方式を1台で行える唯一の装置で注目されています。