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酸素透過率(OTR)とは?意味、測定原理、主要な試験規格までわかりやすく解説

作成者: 三洋貿易科学機器部|2026年8月13日

油脂の酸化による変色や風味低下、医薬品の有効成分失活、有機ELディスプレイや電池材料の機能低下など、大気中に存在する酸素は、多くの製品において品質維持や製品寿命を阻害する最大の要因となります。これら「酸素による劣化」を防ぐ性能を定量化した最も重要な指標が「酸素透過率(OTR:Oxygen Transmission Rate)」です。

本ページでは、製品の長期保存(ロングライフ化)や高度な品質管理に欠かせない酸素透過率(OTR)の基本定義から、等圧法や差圧法といった主要な測定原理、JIS/ASTM/ISOなどの国際規格までを網羅的に解説します。

酸素透過率(OTR)試験の基礎知識

酸素透過率(OTR)とは?

酸素透過率(OTR:Oxygen Transmission Rate)とは、一定の温度・湿度・圧力差の条件下において、指定の膜材料を24時間あたりに透過する酸素ガスの体積(量)を表した指標です。
一般的にcm3/(m2・day・atm)(1気圧の酸素圧差のもと、24時間あたりに1m2を透過する酸素の体積cm3)という単位で表記されます。

なぜ酸素透過率(防酸化・ロングライフ化)の評価が重要なのか?

大気中に約21%含まれる酸素は高い反応性を持ち、多くの物質と結びついて不可逆的な品質劣化(酸化)を引き起こします。そのため、製品のシェルフライフ(賞味・消費・使用期限)を最大化する上で、OTR評価は不可欠なプロセスです。

    • 食品・医薬品分野(酸化・変質・失活の防止):脂分の酸化変質(油戻り・異臭発生)の抑制、ビタミン類や香気成分の分解防止、カビ等(好気性微生物)の発育阻止、医薬品有効成分の酸化分解防止
    • 化学・産業資材分野(物性劣化・錆の防止):高分子樹脂の光酸化劣化防止、脱酸素剤を同封するハイバリア包材の設計、精密金属パーツの防錆包装材の評価
    • エレクトロニクス分野(高精細デバイスの保護):有機EL(OLED)発光層の酸素によるダークスポット発生防止、太陽電池バックシートやリチウムイオン電池包材における超高バリア評価

なお、生鮮野菜や果実向けのMA(Modified Atmosphere)包装においては、逆に「適度な酸素透過性」を持たせて青果物の呼吸を維持させる「酸素透過制御」の評価にもOTR測定が利用されます。

フィルム(平膜)評価とパッケージ(完成容器)評価の違い

酸素透過率を正しく管理するためには、素材そのものの性能評価に加え、最終製品の形状での評価が不可欠です。

    • フィルム(平膜)試験: 原材料シートや単層・多層フィルムなど、素材自体が持つ固有の酸素バリア性能を評価
    • パッケージ(容器)試験: PTPシート、PETボトル、レトルトパウチ、キャップ付き容器など、実際の完成形状で評価。

フィルム単体で優れた酸素遮断性を示していても、絞り成型時の局所的な肉薄化や、ヒートシール部の微小な隙間(マイクロピンホール)から酸素が侵入することがあります。品質保証の最終段階では、パッケージ(容器)状態でのOTR測定が欠かせません。

酸素透過率の測定原理と対応する規格

酸素透過率を測定・算出する測定原理には代表的な手法が2つあり、それぞれ対応する規格(JIS、ISO、ASTMなど)や特長が異なります。

 1.等圧法(クーロメトリック法 / 電量計法)

・該当規格例:JIS K 7126-2、ASTM D3985、ISO 15105-2など
・特徴:現代の酸素バリア評価における事実上の世界標準(グローバルスタンダード)。極めて高い検出感度と優れた再現性を誇り、ハイバリア材料の評価に最適です。

【詳細な測定原理:ファラデーの電気分解の法則】

透過セルは、サンプル(試験片)を挟んで「100%酸素(または空気)で満たされたテストガス側」と「窒素が流れるキャリアガス側」に分かれています。セルの両側の全圧は等しく(1気圧)、酸素の分圧差のみによって酸素がサンプルを透過します。

サンプルを透過した酸素は、キャリアガスによってクーロメトリックセンサー(電量計)へと運ばれ、以下の電気化学反応(還元反応)が起こります。

「酸素分子1個を還元するのに電子4個(4e-)が必要である」というファラデーの電気分解の法則に基づき、反応時に流れた微小な電流値をカウントすることで、透過した酸素の絶対量(体積)を正確にダイレクト算出します。 

2.差圧法(圧力変化法)

・該当規格例:JIS K 7126-1、ASTM D1434、ISO 15105-1など
・特徴:全てのガス透過測定の「原点」。酸素以外のガス(窒素、二酸化炭素、ヘリウムなど)の透過率も同一装置で測定できるのが最大のアドバンテージです。

【詳細な測定原理:恒温下での圧力変化測定】

サンプルを挟んで、一方(高圧側)にテストガス(酸素等)を導入し、もう一方(低圧側)を真空状態にします。サンプルの高圧側と低圧側の圧力差(差圧)によって、ガスがサンプルを透過して低圧側へと漏れ出てきます。この低圧側の「微小な圧力の上昇(ΔP)」を高精度な圧力センサーでリアルタイムに測定し、理想気体の状態方程式(PV = nRT)を用いて透過率を算出します。

関連装置のご紹介:Labthink(ラボシンク)社製バリア評価装置 

三洋貿易では、世界中の包装材料メーカー、食品・医薬品企業、研究機関で豊富な導入実績を持つLabthink(ラボシンク)社のガスバリア・酸素バリア評価装置を取り扱っています。

JIS、ISO、ASTMなどの各種国際規格への完全準拠はもちろん、フィルム(平膜)から実際の完成パッケージ(容器)測定まで、お客様の評価目的に合わせた最適なソリューションを優れたコストパフォーマンスでご提案します。

主なラインナップと特徴

    • 2大測定方式への対応: グローバルスタンダードである「等圧法(クーロメトリック法)」から、多ガス対応の「差圧法」まで、多様なモデルを展開。
    • 高効率な多検体同時測定: 基本3セル、最大6セルの同時測定に対応。試験のスループット(処理能力)を大幅に向上させつつ、導入しやすい合理的で高いコストパフォーマンスを実現。
    • パッケージ(容器)試験対応: 専用アタッチメントにより、ボトル、パウチ、キャップ付き容器などの最終形態でのバリア性評価が可能。
    • 各種国際規格への完全準拠: JIS、ISO、ASTMなどの規格に適合した確かなデータ信頼性。
    • 高いデータ相関性: グローバル市場で広く普及している従来の標準的なバリア測定器とのデータ相関性も確認されており、現行機からのスムーズな移行・乗換が可能です。

【eBook】酸素透過率(OTR)の測定原理・主要規格(JIS/ASTM/ISO)の対応マップ

本ページで解説した酸素透過率(OTR)の測定原理や主要規格(JIS/ASTM/ISO)の対応マップを、A4サイズ全5ページのコンパクトなマニュアルにまとめました。

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