医薬品、食品接触材料、医療機器、化学試薬などの品質評価では、微量な不純物や抽出物を適切に管理することが求められます。
その評価方法の一つとして広く活用されているのが「残留物試験」です。
残留物試験は、試料を蒸発させた後に残る非揮発性成分の量を測定するシンプルな分析手法ですが、安全性評価や規格適合性確認において重要な役割を担っています。
本記事では、残留物試験の概要や試験の流れ、現場で抱える課題、さらに近年注目されている自動化技術について解説します。
残留物試験とは、液体試料や抽出液を蒸発させた後に残る非揮発性物質の量を重量測定によって求める試験です。
蒸発残留物試験(Evaporation Residue Test)や非揮発性残留物試験(NVR:Non-Volatile Residue)とも呼ばれ、以下のような用途で利用されています。
医薬品原料中の不純物管理
医薬品包装材料の評価
医療機器の抽出物評価
食品接触材料の総移行量試験
化学試薬や溶剤の純度評価
残留物量は品質や安全性を示す重要な指標であり、多くの業界で規格やガイドラインに基づいた評価が実施されています。
残留物試験の目的は、試料中に含まれる微量な不純物や抽出物を定量化し、製品の品質と安全性を確認することです。
例えば食品接触材料では、容器や包装材から食品へ移行する物質の量が問題となります。また、医療機器や医薬品包装材料では、人体へ接触する部材から溶出する成分の評価が求められます。
品質保証だけでなく、
法規制への対応
製品開発時の安全性確認
製造工程管理
品質トラブルの原因解析
などにも活用されています。
残留物試験はシンプルな原理ながら、多くの工程を含みます。
代表的な試験フローは以下の通りです。
蒸発皿の恒量確認
試験皿を乾燥・冷却・秤量し、重量が安定するまで繰り返します
試料添加
既知量の試料または抽出液を蒸発皿に添加します。
蒸発
ウォーターバスや蒸気浴を用いて溶媒を蒸発させます。
乾燥・冷却
オーブンで乾燥後、デシケーター内で冷却します。
秤量
分析天秤で残渣の重量を測定します。
恒量判定
重量が安定するまで乾燥・冷却・秤量を繰り返します。
これらを合わせると、下記を含む25工程以上の手作業が発生する場合があります。
従来法では恒量確認のために乾燥・冷却・秤量を繰り返す必要があります。
作業者は試験皿を何度も移動させながら測定を行うため、多くの工数が発生します。
試験条件によっては結果が得られるまで数日を要する場合があります。
品質管理部門では試料数の増加に伴い、処理能力がボトルネックになることがあります。
秤量タイミングや試験皿の扱い方が作業者によって異なるため、データのばらつきが発生する可能性があります。
エタノールやヘキサン、クロロホルムなどの揮発性溶媒を使用する場合、蒸気曝露への対策が必要になります。
近年は分析業務の効率化や人材不足への対応を背景に、自動化システムの導入が進んでいます。
残留物試験においても、
試験工程の標準化
作業時間の削減
試験再現性の向上
安全性の向上
といった観点から自動化への関心が高まっています。
また、自動化によって分析担当者は単純作業から解放され、データ解析や試験開発などの業務へ注力しやすくなります。
残留物試験の効率化を目的として開発された装置の一つが、Labthink社の全自動残留物試験装置「C840H」です。
C840Hは、残留物試験に必要な
蒸発
乾燥
冷却
秤量
といった工程を1台に集約した全自動システムです。
従来は複数装置を使用して行っていた試験フローを自動化し、恒量判定までの工程を自動で実施できます。
また、最大25サンプルを同時処理できるため、高スループットな品質管理業務にも対応可能です。
さらに、
ロボットアームによるサンプルの自動秤量
恒量判定の自動化
密閉構造による安全性向上
揮発性ガスの自動回収
などを備え、医薬品や食品接触材料分野での利用が期待されています。
残留物試験は、医薬品や食品接触材料、医療機器などの安全性・品質保証を支える重要な試験です。
一方で、従来法では手作業工程の多さや試験時間の長さ、再現性確保、安全管理といった課題があります。
近年は試験工程の自動化が進んでおり、試験の標準化や効率向上、人件費の削減を目的として導入を検討する企業が増えています。品質管理業務の改善を目指す上で、残留物試験の自動化は今後さらに重要なテーマになると考えられます。
残留物試験とは、試料や抽出液を蒸発させた後に残る非揮発性成分の量を重量測定によって評価する試験です。蒸発残留物試験(Evaporation Residue Test)や非揮発性残留物試験(NVR:Non-Volatile Residue)とも呼ばれ、医薬品、医療機器、食品接触材料、化学試薬など幅広い分野で利用されています。
残留物試験は以下のような分野で広く活用されています。
• 医薬品
• 医薬品包装材料
• 医療機器
• 食品接触材料
• 化学試薬
• 工業用溶剤
安全性評価や品質保証、規格適合性の確認などを目的として実施されています。
残留物試験では、蒸発可能な液体や抽出液を対象として幅広いサンプルを測定できます。
代表的な試料として、以下が挙げられます。
• 純水・超純水
• エタノール、IPAなどのアルコール類
• アセトンなどの有機溶剤
• 医薬品や医療機器の抽出液
• 食品接触材料の溶出液
• 化学試薬
• 工業用洗浄液
試料の種類によって、蒸発温度や乾燥条件、使用する試験規格が異なるため、適切な試験条件を選定することが重要です。
用途に応じてさまざまな規格や試験法が存在します。
代表例として、
• EN 1186(食品接触材料)
• ISO 759
• ISO 6353
• ISO 1135
• ISO 3826
• ISO 8536
• 各国薬局方(USP、EP、JPなど)
が挙げられます。試験対象によって必要な試験条件や判定基準が異なるため、適切な規格選定が重要です。
一般的には「恒量確認」の工程が最も時間を要します。
試験では乾燥・冷却・秤量を繰り返し、重量変化が一定範囲内になるまで測定を続ける必要があります。そのため、試験によっては結果が得られるまで数日かかることもあります。
残留物試験の自動化には以下のようなメリットがあります。
• 試験工程の標準化
• 作業時間の削減
• ヒューマンエラーの低減
• データ再現性の向上
• 作業者の安全性向上
• ラボ運営の効率化
近年は品質管理業務の効率化や人材不足への対応を目的として、自動化システムへの関心が高まっています。